計算列入門:
抽出と計算を一度に実行
ほとんどの文書抽出ツールは読み取りで止まります。ページに印刷されているもの — ある列の数量、別の列の単価 — をそのまま渡すだけです。しかし、実際に必要な数字 — 行合計、手取り額、原価率 — は印刷されていません。データから導き出されるものです。そして最近まで、抽出完了後に誰かがExcelを開いて計算する必要がありました。
重要なポイント
- どの抽出ツールもQty = 5を一つのセル、Unit Price = $12を別のセルに渡して完了とします。掛け算は自分でやる必要があります。
- Excelの数式はセルの位置(B2×C2)を参照するため、「約5単位」と書くと数式が壊れます — しかしAIは数字の意味を理解するため、それがどこにあるかではなく、5として読み取ります。
- ImageToTable.aiの列名フィールドに「Line Total (Qty × Unit Price)」と入力し、任意の文書をアップロードすると、計算結果が出力に届きます — 数式バーもセルのドラッグも不要です。
計算列とは
計算列とは、出力テーブル内の列のことで、その値はドキュメントから単純にコピーするのではなく、抽出中にAIが計算して生成する列です。
標準的なドキュメント抽出では、「請求書番号」「日付」「仕入先名」など、検索するフィールドをツールに指定します。ツールはドキュメントを読み取り、それらの値を特定して出力に配置します。得られる結果は、印刷された内容そのものです。
計算列は、もう1つの指示を追加します。抽出した値を取得して、それらに対して何らかの処理を行うという指示です。
請求書の明細行を考えてみましょう。ドキュメントには数量=5、単価=$12と表示されています。標準的な抽出では、5と12の2つのセルが得られます。計算列では、60が入った3つ目のセルが得られます。AIが抽出中に2つの数値を乗算し、数式を1つも書かずに、その答えがスプレッドシートに届きます。
重要な違いは、計算が行われるタイミングです。従来のワークフロー(OCR、AI抽出、手動データ入力を問わず)では、計算は抽出後、別のツールで行われます。計算列は、計算を抽出自体に組み込みます。ダウンロードする出力は、すでに完成した成果物です。
ドキュメント抽出全般に不慣れな方は、AIドキュメント抽出の初心者向けガイドで、AIがドキュメントを読み取る仕組みの基本を解説しています。この記事では、その基本概念を理解していることを前提とし、その上に位置する計算レイヤーに焦点を当てます。
Excelでやればいいのでは?
多くの人が最初に抱く疑問は、エクスポート後に数式列を追加すればいいのではないか、というものです。答えは「その通り」です。そして、それはまさに人々が何年も行ってきた方法です。本当の疑問は、そうしないことで何が得られるかということです。
規模が状況を変えます。明細行が5つの請求書1枚なら、数式は5つです。各10〜40の明細行を持つ請求書30枚のバッチなら、数百もの数式になります。そのような大規模なバッチで数式参照を1つ間違えると、誤った数値が発生し、財務における誤った数値は雪だるま式に膨らむ傾向があります。Excelが数式処理に不向きだと言っているのではありません。数式の作成はドキュメント量に比例して増える一方、検証作業はそれ以上に速く増えるのです。
数式はスプレッドシート内にあり、ワークフロー内にはありません。新しい請求書バッチを抽出するたびに、数式を再作成するか、テンプレートシートをコピーして範囲がまだ一致することを願うしかありません。計算列は抽出定義の一部です。一度定義すれば、以降のすべてのバッチのすべてのドキュメントに適用されます。
Excelでは見えないコンテキストを必要とする計算もあります。数式セルは、位置によって他のセルを参照します(B2×C2など)。B2が数量でC2が単価であることは認識しません。そこにあるものを単に乗算するだけです。同じ計算を実行するAIは、フィールド間の関係を理解します。ドキュメントが数量を「約5ユニット」と表記したり、単価を列ではなく段落に記載したりしても、AIはそれを推論できます。数式にはそれができません。
これは、Excelの使用をやめるべきだという意味ではありません。抽出ステップが、計算がすでに完了したスプレッドシートを提供できるということです。そして、Excelは算術ではなく分析の場になります。
計算を定義する2つの方法
ImageToTable.aiでは、計算列を定義する2つの方法を提供しています。どちらも同じ結果を生みますが、ワークフローの異なる段階に対応しています。
列名方式 — アカウントなしで試せる
最も簡単な方法:計算式を列名に直接書き込むだけです。AIが列名全体(ラベルと指示)を読み取り、あなたが何を求めているかを理解します。
列名の例
この方法はゲストデモですぐに使えます — ログインも設定も不要です。欠点は、計算が複雑な場合に列ヘッダーが長くなり、出力テーブルが読みにくくなることです。
ルール形式 — 反復的な本番ワークフロー向け
ログインユーザー向けの代替方法がルール形式です:列名はシンプルに保ち(例:「Line Total」)、計算ロジックは別のJSONルールで定義します。これにより出力ヘッダーが整然と保たれ、より詳細な指示(書式ルール、小数精度、フォールバック値)が可能になります。
ルール形式の例
最適な始め方:列名方式で数件のドキュメントに計算をテストしてみてください。ロジックが機能すると確信できたら、通常のワークフローではルール形式に移行します。どちらの方法も同じAI推論に依存しており、違いは指示を書く場所だけです。
計算列でできる5つのこと
ここでは、最もシンプルなものから最も強力なものまで、定義できる5種類の計算をご紹介します。それぞれに実際の列名が含まれているので、この記事の最後にあるデモにコピーして使えます。
1. 行レベルの算術演算
同じ行または文書の同じセクションに表示される値を乗算、除算、加算、減算します。これは最も一般的な用途であり、多くのExcel数式を置き換えるものです。
実際の例
文書に個々の入力値はあるが、その合計結果がない場合に使用します。数量と単価は印刷されているが行合計が省略されている請求書 — ゼロから抽出ワークフローを設定する完全な手順については、請求書フィールドをExcelに抽出するガイドを参照してください。作業時間と時給は記載されているが、労務費の合計が計算用に残されている作業指示書。開始時と終了時の走行距離計の読み値が記載されている走行距離記録。
2. 行をまたぐ集計
同じグループまたはセクションに属する複数の行の値を合計、平均、またはその他の方法で組み合わせます。ここで数式ベースのアプローチは破綻します — 範囲を手動で定義する必要があり、範囲は文書ごとに変わります。
実際の例
AIは、見出し、間隔、テーブルのグループ化など、文書の視覚的な構造を読み取ってセクションの境界を特定し、属する行のみを集計します。範囲を選択するのではなく、合計する内容を記述すると、AIがどの行が該当するかを判断します。
3. 条件ロジック
値を比較し、その比較結果に応じた結果を出力します。これにより、数値が合っているかを確認する手動照合が、単一の出力列に変わります。
実際の例
条件列を使用すると、請求書の不一致をフラグで示したり、給与明細の控除額が手取り額と正しく合計されているかを検証したり、発注書の合計が明細行の合計と一致するかを確認したりできます。この列は抽出するだけでなく、監査も行います。
4. 固定パラメータ参照
文書に含まれていない値(税率、メニュー価格、標準マークアップ率など)を計算に埋め込みます。AIはそれを所与の定数として扱います。
実際の例
これは、答えが文書の外部にある情報(価格表、税務参照カード、契約条件など)に依存する場合に役立ちます。パラメータを列定義で一度指定するだけで、AIがすべての行に適用します。
5. 印刷されていないデータからの導出値
文書に必要な値が記載されていないものの、それを計算するための材料が含まれている場合、AIは欠落した数値を導出できます。
実際の例
これは算術とは異なる機能です。AIは2つの抽出値から計算しているだけではありません。値が欠落していることに気づき、それを導出するために必要なフィールドを特定し、それらを抽出して結果を計算します。数式では最初のステップを実行できません。人間はギャップに気づき、数式を追加し、手動で埋める必要があります。
これら5つのパターンの詳細な技術解説(行間の認識、あいまいさの処理、Precision+ モードを有効にするタイミングなど)については、計算列の詳細ガイドをご覧ください。
計算列でできないこと
限界について正直であることは、能力を明確にすることと同じくらい重要です。ここでは、計算列が対応しないことを説明します。
文書間の参照。 各抽出は1つの文書を独立して処理します。計算列は、請求書の明細行の合計が印刷された合計と一致することを検証できます。しかし、請求書の合計が総勘定元帳の対応するエントリと一致するかどうかは確認できません。そのデータは別のシステムに存在するからです。
会計ソフトやERPソフトの代替。 計算列は抽出中に回答を生成します。仕訳の転記、在庫の更新、承認ワークフローの起動は行いません。計算列は、生の文書を検証済みで計算が完了したデータに変換するレイヤーと考えてください。ダウンストリームで使用するどのシステムにもインポートできる状態にします。
読み取れないソース文書への対応。 AIが数量や単価を読み取れない場合(スキャンがぼやけている、手書きが判読できない、フィールドが単に欠落しているなど)、どんな計算でも補うことはできません。経験則として、文書を見た人がページに表示されている情報(および提供した固定パラメータ)から答えを計算できるなら、AIも計算できます。人ができないなら、AIもできません。
30秒で試す
列名方式はアカウント不要です。下のデモに計算列名を入力し、文書をアップロードすると、出力に計算結果が表示されます。データを抽出したのと同じステップで計算も実行されます。
計算列を追加してみてください。他の列名と一緒に Line Total (Qty × Unit Price) と入力します。